技術コラム
Technology Column

第5回 油圧アクセサリーの選び方

油圧装置は複数の構成要素から成り立っており、油圧アクセサリーは、油圧装置のコンディションを把握して、維持管理するために使用される補助的な要素です。しかし、信頼性の高い油圧システムを作るには 直接駆動にかかわる油圧機器のみではなく、様々な油圧アクセサリーを適切に選定・使用する事が重要となります。油圧アクセサリーが適切でなければ、油圧機器は本来の能力を発揮できなくなる場合もあるからです。
例えば、油圧装置は油圧作動油を媒体として力を伝達しています。そのため油圧作動油の状況は油圧システムの健全性に大きく影響を与えます。一般的に、油圧システムの不具合のうち油圧作動油の汚染に起因することが70%と言われています。この油圧作動油の汚染管理で重要な役割となるのがフィルターとタンクです。他にも油圧システムを適切に作動させ使用するには、用途や状況に合った油圧アクセサリーを選んでください。

油圧アクセサリーの種類

油圧アクセサリーには、油圧ホース、カプラ、圧力計、圧力スイッチ、作動油、取付金具、バルブ、継手、オイルキャップ、ブリーザキャップ、オイルゲージなど様々な種類があります。その中のいくつかを、特徴や選択のポイントを交えてご紹介いたします。

油圧アクセサリー

油圧ホース

油圧ホースは油圧を動力にする全ての機械に使用されており、油圧の動力をフレキシブルに伝導させるために不可欠な配管です。油圧ホースには、柔軟性や耐久性、軽量化を大幅に向上させ、耐摩耗性に優れたタイプや、コンパクト配管を可能にしたタイプ、幅広い温度範囲に対応したものがあります。

油圧ホース
油圧ホースを選定するポイント

(1) 油圧ホースのサイズ・圧力
油圧ホースのサイズは、ホース内径によって呼称が決まっておりますが、ホースを切断して計測することはできないので、油圧ホースの外径を計測してください。また、メーカーにより異なりますが、油圧ホースの表面の印字を確認することにより、サイズや耐圧などの仕様を確認することもできます。

(2) 油圧ホースの長さ
油圧ホースの長さを測るには、金具から金具までの長さをきっちり測ってください。

(3)継手金具の種類
油圧ホースの継手金具には、ガスネジ・ミリネジ(Mネジ)・ユニファイネジなど数多くの種類が存在しますので、選定するときに継手金具の種類もしっかり確認してください。

カプラ

カプラは、一般にシリンダーと油圧ホースを接続する場合に用いられ、ホース側にはHカプラ、シリンダー側にはRカプラを取り付けます。カプラを使用する時に注意したいことは、シリンダー側カプラと油圧ホース側カプラを隙間のないようにしっかり締めることです。ゆるみができると、回路が閉鎖され、正常に作動しなくなります。もしゆるみができたときには、シリンダーとホース内の圧力を抜いて正常に締め直してから使用してください。

カプラ
カプラの選定ポイント

(1) 使用する機器の温度を確認
使用する機器の温度に適合した材質を選んでください。

(2) 使用する機器の圧力を確認
油圧に適合した耐圧のカプラを選んでください。

(2) 形状・サイズの確認
配管部の特性に応じた取付形状・サイズを選んでください。

圧力計

油圧機器の圧力計は、油圧ユニットや配管ラインの圧力を測定する装置で、油圧回路内の圧力が設定圧に合っているかどうかを確認するのに使用されます。圧力計は、どれも同じような形をしており何を選んでも大差ないと思われがちですが、誤った圧力計を選ぶと取付が困難であったり、寿命が短くなったり、最悪事故につながったりすることもありますので、注意して選定することが重要です。
圧力計は、大きく分けてアナログタイプとデジタルタイプに分けることができます。

圧力計

<アナログ圧力計>
アナログ圧力計は、機械的なプロセスを使用しており、圧力下で指針の動きを目盛りから読み取ります。電源を必要としないため、電池交換や電源の設置なしで継続的に使用でき、衝撃や振動にも耐えられ、過酷な条件下や様々な産業分野で使用することができます。また、圧力値を素早く読み取ることができるメリットがありますが、 目盛りの読み間違えをする可能性もあります。

<デジタル圧力計>
デジタル圧力計は、圧力を電気信号に変換して測定値を画面に表示する圧力計です。デジタル表示なので、圧力値を簡単かつ正確に読み取ることができ、測定単位の選択や最大値の保存など、多くの機能も備えています。ただ、電源を必要とする電子回路を内蔵しているため、電池や電源が必要となります。

圧力計の選定ポイント

(1) 圧力レンジ
(2) ネジ径
(3) 形状
(4) 大きさ
(5) 接液部材質

以上を踏まえて、適切に圧力計を選定しましょう。

圧力スイッチ

圧力スイッチは、設定された圧力を検知してスイッチをオンまたはオフにする機器です。その信号を使用し装置の起動、停止などを行い油圧圧力を制御するのに使用されます。圧力スイッチには、機械式と電子式があり、技術的な違い以外にも、スイッチング信号や制御オプションにも違いがあります。機械式圧力スイッチは、電源を必要とせず電気信号のみを送ることができます。シンプルで安価な装置であり、測定の精密さよりもその丈夫さで選ばれます。電子式圧力スイッチは、機械式に比べて複雑な構造をしているため、価格も高くなります。可動部がないため、信頼性と耐久性に優れており、精度も機械式に比べて格段に優れています。

圧力スイッチ
圧力スイッチの選定ポイント

圧力スイッチのタイプを決定した後、以下の基準に基づいてモデルを選択します。

(1) セットポイントが変化しない場合
工場出荷時にあらかじめセットポイントが設定された機械式圧力スイッチを選択します。セットポイントが後から調整可能なモデルよりも安価で耐久性があります。

(2) セットポイントが変化する可能性がある場合
セットポイントが調整可能な圧電子式圧力スイッチを選びます。ディスプレイとインターフェース(ボタン)を備えた電子式圧力スイッチは、各種動作パラメータを細かく調整することができます。

<調整範囲>
監視する圧力の値に対応するセットポイントまたは調整範囲を持つ圧力スイッチを選択することが重要です。

<出力信号>
様々な種類の出力があるため、選択したモデルが必要な出力に対応しているかどうかを確認することが重要です。機械式圧力スイッチの場合は、常時開(ノーマルオープン)または常時閉(ノーマルクローズ)の接点を選択します。電子式には、より多くの選択肢があります。

<耐圧力(最大圧力)>
最大圧力は、設定圧力よりもはるかに高いです。

<材質>
流体と接触する部分と、周囲の環境と接触するケースの材料の選択は重要です。いずれの場合も、用途(例えば食品業界ではステンレス)、流体、周囲の環境に適した材料を選択する必要があります。

<電気コネクタ>
既存の回路に対応した電気コネクタを持つものを選びましょう。

<電源>
電子式を選択した場合、その電源電圧が制御ループが供給する電圧に対応しているかを確認します。

<保護等級、ATEX認証>
プロセス要件に対応した保護等級のスイッチを選択する必要があります。

作動油

作動油は油圧装置の中で動力を伝達する媒体として欠かせない存在です。
また、動力伝達以外にも以下のような作用も担っています。

  • 潤滑:作動油に含まれる添加剤によって金造表面に油膜を形成し、油圧装置の摩耗を防ぐ。
  • 防錆:油膜を張ることで酸素と金属が触れ合わなくしサビを防ぐ。
  • 冷却:装置内部で発生する熱を冷却し、高温による故障を防ぐ。
  • 密封:装置内部の微小な隙間をふさぎ、圧油の漏れを防ぐ。
作動油

作動油は油圧装置の信頼性や作業効率に大きく関与し、作動油の選択を間違えると機械の破損や故障につながるため注意が必要です。

作動油の選定ポイント

(1) 使用用途や環境に適合しているか
(2) 粘度が適切か
(3) 難燃性か石油系か
(4) 圧縮性や消泡性、高引火点、シールとの適合性などがあるか

作動油の種類には、石油系作動油、難燃性作動油、水溶性作動油などがあります。また、粘度については、使用温度や負荷、運動速度などによって適した粘度が異なります。高温・高負荷の環境では高粘度の油、低温の環境では低粘度の油が適しています。
また、作動油の管理も重要です。作動油は劣化すると油圧装置の性能に影響を与え、機械の寿命にも影響を与えます。定期的に作動油の性状調査を行い、汚染度や水分を管理しましょう。

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