技術コラム
Technology Column

第3回 油圧ポンプについて

油圧ポンプとは

油圧ポンプは、油圧の力を利用する油圧装置の中でも、エンジンやモーターなどから発生した機械エネルギーを流体エネルギーに変換する役割を担う、大変重要な装置です。油圧ポンプにより加圧することで、少ない力を大きな力に変換することができ、優れた応答性や高い精度での位置決めなど、油圧の持っている優れた特性で、効率的にエネルギーを仕事に変換することができます。

油圧ポンプの種類

油圧ポンプは、吐出量(押しのけ容積)の調整の可否から、固定容量形油圧ポンプと可変容量形油圧ポンプに分類でき、油圧ポンプの構造(作動の仕方)から、ギアポンプ、ベーンポンプ、ピストンポンプに分けることができます。

吐出量の調整可否から分類

固定容量形油圧ポンプ

1回転当たりの吐出量(押しのけ容積)が一定で、吐出量の調整は不可の油圧ポンプ。

可変容量形油圧ポンプ

1回転当たりの吐出量(押しのけ容積)が可変で、吐出量の調整が可能な油圧ポンプ。

油圧ポンプの種類

構造(作動の仕方)から分類

ギアポンプ

ギアポンプは「歯車ポンプ」とも呼ばれ、ケーシングにおさめられたギア (歯車) のかみ合わせ部分を利用して回転しながら油などの流体を移送するポンプです。
2つの歯車が回転する際に、歯の噛み合わせ部分に空間が生じ、歯車1回転にごとに一定量の流体が吐出されます。駆動スピードを一定に保つことができ、圧力上昇に伴う吐出量の変化が少なく、定量性が良いことが特徴です。

ギアポンプの構造
ベーンポンプ

ベーンポンプは、ポンプ内部にベーンと呼ばれる羽根(平板や羽根状板)がついている、ポンプ内の体積を変化させて輸送する容積式ポンプです。ロータが回転することによって、カムリングとベーンとの間に空間ができ、そこに油が入り込むことで油に圧力をかけて押し出すことができます。ベーンポンプは、摩耗が少ないため低騒音で安全性が高く、異物にも強い特徴があります。

ベーンポンプの構造
ピストンポンプ

ピストンポンプは、ピストンの往復運動により空間を作り出し、そこに油が入り込むことで油に圧力をかけて流体を供給・移送するポンプです。ピストンが斜板に接しながら回転しており、斜板が回転するとその傾きが変わり、ピストンもストロークします。斜板の傾きを調整することで、油の吸い込みや吐出量を調整することができます。ピストンは密閉性が高いため、より高い圧力をかけられるのが特徴で、高圧をかけたいときに使われる油圧ポンプです。
ピストンポンプは、アキシャル形・ラジアル形・レシプロ形の3種類に大きく分類されます。

ピストンポンプ
(1) アキシャル形

複数のピストンがシリンダブロックの中心線と平行に、駆動軸に近い位置に配置している形式のピストンポンプです。カムの働きをする斜板とピストンとがある角度をなしており、駆動軸が回転すると斜板がピストンに近づいたり遠ざかったりし、その結果、ピストンが往復運動をしてポンプとして作動します。ピストンが往復運動する方法により、斜軸形と斜板形の2種類に分けられます。

(2) ラジアル形

複数のピストンを駆動軸に対し、放射線状に環状配置して、偏心カムリングやカムによりピストンを往復運動させる方式のピストンポンプです。ラジアルピストンポンプは高圧用途に適しており、厳しい条件下でも堅牢な性能を発揮します。ピストンが放射状に配置されているため、軸方向の設計と比較して騒音と振動レベルを低減して動作できます。

(3) レシプロ形

クランク軸やカムを駆動して、ピストンを往復運動させ、容積変化をさせて液体を吸込み側より吐出し側へ押出す方式のピストンポンプです。吸入口と吐出口に弁があり、単動単ピストン・複動単ピストン・並列複数ピストンなどの種類があります。構造上の特長から高圧に対応できます。

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